ジャパンカップ・G1」(27日、東京)
目下10連勝中と圧倒的な強さを誇る日本勢。その大将格となるのは武豊騎乗のキタサンブラックだ。春の天皇賞でG1・2勝目を挙げ、秋初戦の京都大賞典では、自身初となる1番人気の支持に応えて好発進を決めた。9月12日に頸椎(けいつい)症性脊髄症の手術を受けたばかりの北島三郎オーナー(80)も順調に回復。当日は東京競馬場へ駆け付ける予定のサブちゃんに、全快祝いとなるVを届ける。
演歌界の大御所・北島三郎の所有馬で、通算12戦7勝。馬券圏外に消えたのはダービー14着の一度のみでG1・2勝-。名実ともにトップホースの地位まで登り詰めたキタサンブラックが、今年の“チーム・ジャパン”の大将を務める。
秋初戦の京都大賞典を快勝。意外にも、自身初となる1番人気での勝利だったが、2番手からでもムキにならず、リズム良く立ち回って鮮やかに抜け出した。「順当だと思う。あの馬らしい走り。気になるところは全くなかった」。派手さはなくとも最後には勝つ。貫禄Vで名手・武豊をうならせた。4月の大阪杯からコンビを組むが「当時よりもたくましくなったね。全体的に力強さも出てきた。もっと良くなりそうな雰囲気もあるけどね」と成長も感じた様子。まだ4歳。伸びしろは十分に残っている。
名手が思う、この馬の強さとは?その質問には「みんなが思っているよりも走るところかな」と周囲を笑わせたが、しばし考えた後に「乗り難しさがない。ゲート内の駐立が悪いときでも、出るのは速い。ハナを切っても、抑えてもいい。あれは武器。だから安定して走れる」と回答。雄大かつ安心感のある背中は頼もしい限りだ。
1週前は栗東CWで6F79秒5の猛時計。一杯に追われ、併せ馬で先着を果たした。騎乗した黒岩は「いつも通り。これでほぼ態勢は整った。既に気も入っている」と納得顔。動きを見届けた清水久師も「言うことなし」と力強くうなずいた。
東京芝は3戦2勝。500キロを超す巨体、大きなストライドは広いコースでこそ真価を発揮する。関東のファンにはコンビ初お目見えとなるが、武豊は「東京でこの馬に乗るのは楽しみ」と目を輝かせる。恐らく、勝っても派手さはないだろう。だが、勝利の先にはど派手な“まつり”が響き渡るかも-。ファンの声援が、ブラックをさらなる名馬へと押し上げる。