2月25日(日)、中山競馬場で4歳以上馬によるGⅡ中山記念(芝1800m)が行なわれる。
このレースは、今年で98回目を迎える伝統の一戦。多くの名馬が勝ち馬に名を連ねており、2022年の勝ち馬パンサラッサは続くGⅠドバイターフ(メイダン・芝1800m)を勝ち、昨年もGⅠサウジC(キングア・ダート1800m)を勝つなど世界の大舞台で華々しい活躍を見せた。
今年も豪華メンバーが揃った。ともにGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)を制したジオグリフ(2022年)とソールオリエンス(2023年)、昨年と3年前の中山記念勝ち馬ヒシイグアスなどが出走を予定している。
血統的傾向として目立つのが、ハーツクライ産駒の好成績だ。過去10年で10頭が出走し、2014年ジャスタウェイ、2015年ヌーヴォレコルト、2021、23年ヒシイグアスと3頭で4勝している。同じサンデーサイレンス後継で、同タイプのディープインパクト産駒が20戦して1勝、2着1回という成績とは対照的だ。
今年はヒシイグアスをはじめ、3頭のハーツクライ産駒が出走予定。中でも筆者が注目しているのがイルーシヴパンサー(牡6歳、美浦・久保田貴士厩舎)だ。
同馬は昨年のGⅢ京都金杯(京都・芝1600m)、2022年のGⅢ東京新聞杯(東京・芝1600m)と、芝1600mの重賞を2勝。前走のGⅠマイルチャンピオンシップ(京都・1600m)では、勝ったナミュールから0秒3差の6着に敗れた。全6勝が東京の4勝を含む左回りだが、中山では4戦して2着2回。今回と同じ1800m戦ではGⅡスプリングS(中山・芝1800m)4着、昨年のこのレース8着という成績が残っている。
昨年の中山記念は、道中は5番手の好位を進み、直線入り口で先頭を射程圏に入れながら、直線の攻防で前も左右も壁になって追えないという致命的な不利を受け、脚を余してしまっていた。スムーズなら突き抜けていてもおかしくない脚いろだったため、今回はあらためて見直したい。
左回り巧者のイメージがあるのであまり人気にはならないだろうし、昨秋の走りからも、ここで勝ち負けする力も残っていることがうかがえた。昨年の勝ち馬ヒシイグアスは7歳だったので、6歳ながら今回が17戦目とキャリアも少ない本馬には十分チャンスがあるはずだ。
もう1頭もハーツクライ産駒からボーンディスウェイ(牡5歳、美浦・牧光二厩舎)を推す。同馬は重賞未勝利でやはり人気は集まりにくそうだが、全4勝中3勝が中山という”コース巧者”。昨年の暮れには同じ中山・芝1800mの常総Sを勝利し、前走のGⅢ中山金杯(中山・芝2000m)は4着。2歳時にはGⅠホープフルS(中山・芝2000m)5着、3歳時にはGⅡ弥生賞ディープインパクト記念(中山・芝2000m)3着と重賞での好走歴もある。
母ウィンドハックはドイツ産で、GⅡ伊1000ギニー(芝1600m)の勝ち馬。母の父プラティニもドイツ産で、ドイツとイタリアでGⅠを勝っており、GⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)やGⅠ天皇賞・秋(東京・芝2000m)を勝ったエイシンフラッシュの母の父でもある。
ハーツクライとドイツ血統は相性がよく、本馬が母系に持つズルムーは、GⅠ朝日杯フューチュリティSを勝ったサリオスも持つ血だ。エイシンフラッシュもサリオスも5歳まで一線級で活躍した成長力を持っていたため、本馬にも5歳春の素質開花に期待する。
以上、今年の中山記念はハーツクライ産駒イルーシヴパンサー、ボーンディスウェイの2頭に注目する。